イタリアふれあい待ち歩き


イタリアの観光情報 ― ミラノとミラノ周辺の城
 



教会は星の数ほどありますが、教会ほどではないにしても、お城も数え切れないほどあります。ミラノでは、スフォルツェスコ城が有名です。このお城は比較的に保存状態が良いので見栄えも立派です。でも、お城は周りの自然との調和で見るものであると考えています。これだけお城がいっぱいあるとお城だけぽつんとあってもあまり感動もしません。ミラノ周辺にもたくさんのお城がありますが、その中から自然と調和しているお城を探し出して見に行くようにしていました。

 

イタリアのお城の種類

大きなお城や小さなお城、街が城壁に囲まれていてその真ん中に位置するお城、山の頂上や畑の中にぽつんとある城壁に囲まれたお城等、いろいろなタイプのお城があります。イタリア語で、お城はカステッロといいますが、中には、ロッカという場合があります。ロッカとは、日本語で言うと砦の意味で、カステッロよりも小規模で周りを城壁で囲まれています。ロッカは、通常、街から離れたところにぽつんと位置していて、外敵からの最初の防御設備として使われました。従って、厳密に言うとお城ではありません。でも、ロッカは郊外の田舎にあることが多いので、周りの景色がよく、自然と調和が取れているのです。ですから、ここでは、ロッカを含めてお城として考えることにします。

 

ヴィスコンティ・スフォルツェスコ

ミラノのスフォルツェスコ城は有名ですが、ミラノ近郊は、ヴィスコンティ・スフォルツェスコの支配が続いていたので、ヴィスコンティ・スフォルツェスコと名の付いたお城がいっぱいあります。ミラノ近郊でお城を見つけたらヴィスコンティ城と言えば、だいたい当たっています。本家のヴィスコンティ家はミラノのお城にいたのですが、分家には、ミラノから少し離れた街にお城を築いて住まわせていたようで、ですから、ミラノの周りの小さな街にヴィスコンティ城が点在しています。ヴィスコンティの時代では、宮殿を建てるのではなく、やはり、防御ができるお城にしたのだと思います。ミラノに来て間もない頃で、まだ、イタリアの事を何も知らない時分に、バスで10分ほどの小さな街(メレニャーノという街)にヴィスコンティ城があるのにはびっくりしました。小さな街なのに立派なお城でした。その後、ミラノ近郊の街に行くたびにヴィスコンティ城があるので、だんだん麻痺してきて、今では、街にはお城があるのが普通であると考えています。

 

ミラノ近郊の小さなお城

ミラノ近郊にもヴィスコンティ・スフォルツェスコ以外のお城もあります。始めて見たロッカは、アパートからバスで5分ほどのところにありました。15,6世紀に建てられた砦(ロッカ・ブリヴィオ)で、もちろん、ミラノの防御の為に建てられたものです。ヴィスコンティ家の貴族が建てたものだそうです。お城というよりも一部が宮殿になっている城壁とお堀で囲まれた砦です。城壁の中は広い空き地になっていて、昔はそこに兵隊が並んでいたのでしょう。砦の周りは見渡す限りロンバルディ平野の畑が広がり、見張りをするにもちょうど良いところです。ミラノから少ししか離れていないのですが、周りの畑と調和の取れた砦はとても印象的でした。

 

また、隣街(ペスキエーラ・ボッロメーオ)にもお城がありました。ミラノの名家であるボッロメーオのお城です。ここも、城壁とお堀で囲まれていて周りにロンバルディ平野の畑が広がっています。でも、ここは、城壁の中に宮殿があるので砦ではなく、このあたりの地主のお城のようです。お城は今でも個人の持ち物であり、中に入ることは出来ません。すぐ近くには、従者が住んでいたと思われる古い建物があります。この建物にも人が住んでいますので、お城と共に現役です。お城から300メートルほど離れた街には12世紀の古い教会があり、城主であるボッロメーオの名前が17世紀に改修したと記録に残っています。こんなところにも歴史があるのです。

 

ミラノ周辺の小さなお城

ミラノ近郊から周辺都市に目を移すと、各都市には必ずと言ってよいほどお城があります。その中には、既に、崩壊して城跡だけのところから、未だに現役で使われているお城までいろいろと揃っています。大きな街だけではなく、上記のミラノ近郊と同じように、小さな街や村にもお城があります。どちらかと言うと、大きな街の中にあるお城よりも、小さな街や村にある自然と調和しているようなお城に興味を覚えます。

 

大きな街のお城は、そのほとんどが博物館や美術館として使われています。マントヴァではドゥカーレ宮殿とお城は繋がっていて、有名な“結婚の間”はお城のほうにあります。街の近くの丘の上に建ててあるお城もあります。そんなお城は、そこに登ると街中が見渡せて観光スポットとなっています。ブレーシャベルガモがその代表です。

 

小さな街や村のお城は、昔のままの姿を残しているところが多くあります。小さな街や村は田舎にあるので、大きな街のように整備されていないのでしょう。ですから、そんな街に行くと中世にタイムスリップしたような感覚になります。周りの自然もお城も昔のままなのです。特に、街(村)全体が城壁に囲まれているようなところは尚更です。でも、そんなところに行くのは簡単ではありません。列車とバスを乗り継いで行くしかありません。それでも、行く価値はあります。代表的なところは、世界遺産に登録されているサッビオネータがあります。ここは平地にある城です。ここに限らずロンバルディ州ヴェネト州のお城は平地か、小高い丘に建っていますが、その周りの村を含めて城壁が取り囲んでいます。ピエモンテ州やエミリア・ロマーニャ州のお城は、山の上にあるのが一般的です。お城からの景色は素晴らしく、ここを訪ねる目的はお城が半分で景色が半分となります。ジェノヴァのあるリグーリア州には、海の傍の崖の上にお城があります。サラセン人の海賊を含む海からの攻撃に備えて建てられたもので、海岸沿いの景色のアクセントとなっています。これらの風光明媚なお城は、“イタリアの最も美しい村”にも選ばれています。その説明を読むと、どんな小さな街(村)にも歴史があり、それが田舎の豊かな自然の中に今でも引き続き息づいているのがイタリアの城であることがわかります。こればかりは、大きな街にはありません。

 

このような辺鄙なところにあるお城のほとんどは、行く事さえも難しいので、決して有名ではありません。でも、あちこちにありますので探すのに事欠きません。十分な計画を立てて、少しでも多く訪ねてみたいと思っています。

ミラマーレ城(トリエステ)
イタリアのお城は、もちろん、戦いのために築かれたのですから、街の城は堅固なレンガ造りで、丘や山の頂上或いは海にある城は石造りです。きれいなお城も廃墟のようになっているお城も、それなりの戦いの歴史に趣を感じます。そんな中で、トリエステのミラマーレ城は、これらのイタリアの城とは一線を画しています。19世紀にパプスブルグ家が建てたこの城は、ヨーロッパの頂点である貴族の城としてふさわしいものです。戦うための城ではなく、住まいとして建てられた宮殿なのです。皇后エリザベートは海のないオーストリアからこの城にリゾート目的で来てたのでしょう。


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