一人歩きの防犯 ― 体験談
 



いろいろと偉そうなことを書いていますが、防犯グッズでも少し触れたように、被害金額500ユーロの“引ったくり”に遭った経験があるのです。ミラノに滞在して4ヶ月くらい経過したときです。今になって考えてみると、ミラノの生活にも馴れて、警戒心もどっかに置き忘れてしまって、空きだらけだったのだと思います。イタリア以外にも海外生活(20年以上)が長いのですが、実際にこのようなことに遭遇したのは初めてのことです。しかし、この体験のおかげで目が覚めました。今では、この体験があったからこそ、その後のミラノ生活を楽しく過せたのだと思っています。ちなみに、この体験に基づいて、別記の防犯グッズを考えたわけですが、防犯体制を確立した後は、一度もそのようなことには遭遇しませんでした。。しかし、地下鉄やバスに乗ると、どう見ても態度のおかしな人は度々見かけます。また、実際に、身近な人で、“引ったくり”と“すり”の被害に遭った人もいますので、常に身近な問題であるとの意識は最後まで持っていました。要するに、防犯グッズだけではなく、常に警戒する意識を持ち続けることが一番大事なことなのです。

“引ったくり”の状況説明

日曜日のお昼(12時くらい)ドゥオモの駅で、M1のカドルナ方面に乗り換えるエスカレーターで、後ろから1人の若い男が走ってきて、私をエスカレーターの直前で追い越し、私の前に立ってエスカレーターを上がっていきました。降り口のところで、カチャッと何かを落とした音がしました。その男はそれを取ろうと、私の足元に手を延ばし、エスカレーターが前に進むのでぐいぐい押してきます。後ろから他の人がそれを押し返してきます。その時点でおかしいと思い、そこから逃れようとしましたが、5人くらいの若い男に囲まれて逃れられないようにしています。押しくら饅頭をしているうちに、ズボンから財布を抜かれました。財布はズボンの後ろのポケットでポケットのボタンは閉めていたと思います。直ぐに前の男を捕まえて、財布を返すように要求すると、財布を違う男に渡して、持ってないと言います。そうしているうちに、1人の男が離れて行きますので、その男を追ってそいつを捕まえると、残りの4人がそこに追ってきて、財布が落ちていたと言って、その財布を遠くに投げました。それをとりに行く間に、全員逃げて行きました。当然ながら、財布の中の現金は全て抜き取られていました。カードやその他のものは全て残ってました。

 
上記の話をイタリア人にすると、そういう状態なら仕方がないが、体を捕まえたりするのは危険だから止めた方が良いとのこと。今回は、何もされなかったのがラッキーだったと言われました。イタリア人が言うように、声を出すくらいで、相手の体を押さえるのは止めたほうが良いと思います。その反省もあって、カードを別にして、現金だけの盗まれても良い財布を持つことに決めたのです。これなら、盗まれても取っ組み合いのけんかをする必要はありません。特に、5人もの若い男に囲まれたら、どこに財布を持っていても同じです。
この事件が起きたのは白昼の駅の構内です。当然ながら、周りには人がいっぱいいましたが、誰も助けてはくれません。やはり、自分の身は自分で守るしかないのです。それも、一番安全で被害の少なくなるように考えなくてはいけません。

身近な人の経験も、一つは、上記と似たようなものです。ミラノの地下鉄プラットフォームで数人の男に羽交い絞めにあって、ズボンのポケットに手を突っ込まれて、携帯電話と財布をむしり取られました。
もう一人は、プロの“すり”でした。地下鉄の中で他の人と話をしている隙にポシェットのチャックを開けられて、中の財布を盗まれています。盗まれた本人は地下鉄を降りるまで全く気がつかなかったとのこと。
また、列車に関連した事例として、荷物を持って列車に乗ったところ、外から窓越しに列車の乗車券の確認をしてきた人に対応しているうちに、座席においてあった荷物(財布、パスポート、パソコン等)をそっくり盗まれた人もいます。

とにかく、こういうことに遭遇すると、折角の楽しい旅行も台無しです。盗まれた金額よりも、そっちの方がもったいないと思います。そうならないように、十分に気をつけてください。


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