個人旅行のガイドと注意点 ― 公共交通機関利用時の注意点



このページではイタリア国内の公共交通機関を利用する際の注意、
チケットを買う為の知識やチケット購入時のトラブルなどを紹介しています。
イタリア国内を移動する際に参考にしてみてください。


国鉄以外の交通機関のチケット購入

国鉄以外の公共交通機関とは、主に私鉄運営の列車とバスです。ミラノ・トリノ・ジェノヴァ等の都会には、郊外に行く私鉄・地下鉄・トラムもあります。また、ミラノにはマルペンサ・エクスプレス、コモ、ヴェレーゼ、ノヴァーラ等に行くLe Nord(ノルド線)があります。ノルド線はブレーシアからも出ています。これらは、全部私鉄ですから、国鉄に比べてビジネス感覚があるのでサービスも多少しっかりしています。列車を含め乗り物も国鉄よりもずっときれいで新しいものです。チケットの自動販売機も数は多いですし、故障も国鉄ほどではありません。また、切符売り場も数箇所ある上に、キオスクやタバッキでもチケットを購入できます。チケットは、打刻さえしなければ、国鉄と同様に購入後2 ヶ月間は有効です。地方のバスなら、チケットをバスの運転手から購入する事も出来ます(この場合には、できるだけお釣りの出ないようにしてください)。チケットの種類も1 回券から10 回券、1 日券、 2 日券と抱負ですし、全部が自動販売機(英語表示があります)でも購入できます。ですから、チケットで苦労することは余りありません。1 回券の場合、ほとんどの地域で有効時間があり、打刻(下記参照、乗車後直ぐに打刻する)後、60 から75 分以内は、地下鉄以外の乗り継ぎが自由です。地下鉄以外なら途中下車しても大丈夫です。

地方の長・短距離バス

バス旅行は、列車旅行にはない楽しみがあります。列車に比べてスピードの遅いバスは、周りの景色も良く見えます。また、途中の街や村にも寄りながら進みますので、思わぬ街や村で思わぬものを見られます。こんなところにも大きな教会やお城があったのか、と感動するような光景を何度も体験しています。イタリアの田舎は、景色も良いのですが、このような期待をしていなかった歴史建造物の宝庫なのです。でも、一方では、庶民の足であるバスは、観光客には利用しづらいものでもあります。ここでは、気がつく限りの、バス利用の注意点を書きます。
チケットを買う
ほとんどのバスは、鉄道駅に停留所があり、鉄道駅のタバッキ又はキオスクでチケットを購入できます。チケットを購入するときに停留所(フェルマータ)の位置も確認しておくようにしてください。同じバスで戻るときは必ず帰りのチケットも購入しておくようにしてください。特に、日曜日や田舎で降りるときは戻りのチケットを購入するところがないときがあります。地方によっては、バスの運転手からチケットを購入できるところもありますので、チケットを購入する時間や店が開いてないときでも、バスの運転手に聞いてみるようにしてください。地方のバスでは、自分で打刻する場合とミラノと違って乗車するときに運転手にチケットを提示して運転手が半券を切る場合があります。従って、チケットが無いと乗車は出来ない場合があります。

バスの料金をチェック
バスの料金は、市街地内の路線(ウルバーネ)以外は距離(Zone)で決まっていますのでちょっと複雑です。観光客が良く使う市街地の外に行く長距離バス(エクストラ・ウルバーネ)の場合は、観光客には目的地までの距離等わかるわけがありませんから、チケットの購入時に、チケット売り場・タバッキ・キオスク(或いはバスの運転手)で、はっきりと行き先を言ってから購入することが大事です。バスの料金は、最低が1.05 (ミラノ内は1.0 ユーロ、60-75 分間有効)、1.2、1.55 ユーロ等と距離によって徐々に料金が上がり、それに従って有効時間も増えていきます。今迄で一番長く乗ったのは、ピアチェンツァからボッビオまでですが、約45 キロ(1 時間15 分)乗って料金は3.7 ユーロでした。また、同じ距離でも会社によって料金が違う場合もあります。どっちしてもそれほど高くはありませんから心配することはありません。バスならタクシーと違ってぼられる心配もありません。

目的地を確認
もう一つ大事なことは、乗るときに運転手に行き先を告げて、そのバスが目的地に行くことを確認することと、また、目的地に着いたら教えてくれるように運転手にお願いしておくことが大事です。出来れば、運転手のそばの席に座ってください。停留所のアナウンスはめったにありません。あってもイタリア語です。それに、停留所には何も表示がないところもあり、間違いなく今どこにいるのかがわからなくなります。

時刻表を調べる
旅行を計画するのにバスの時刻表を調べることが大事です。特に、地方のバスは本数が少ないので、バスに乗り遅れるとタクシーを使うか旅行を断念するしかない場合も出てきます。従って、インターネットで時刻表を探して確認しておくことをお勧めします。バス会社の名前さえわかれば、どのバス会社もインターネットで時刻表を見ることが出来ます。バス会社の名前がわからないときは、目的地のコミューネのウェブ・サイトにアクセスすれば、その地方のバス会社とそのウェブ・サイトが表示されています。但し、コミューネのウェブもバス会社のウェブもイタリア語しかない場合がありますので、グーグル等の翻訳サイトも利用してください。バス会社名がわかっても、どの路線に乗るかわからない時は、バス会社のウェブ・サイトで目的地を検索する等で調べるしかありません。小さなバス会社ですとそれほど路線数がないので、全部の路線を見ればどっかに出てきます。地方によってはグーグル地図やグーグル・アースにバス停まで出てきますので、そこをクリックするとどのバスに乗るかがわかります。

時刻表の注意
バスの時刻表には、当然ながら平日(土曜日も含む)と休日(日曜日も含む)があります。休日には極端に本数が少ないケースが多く、更に、全く走っていない路線もありますので注意が必要です。また、平日であっても土曜日には走らないバスもあります。時刻表にその注意書きが書いてありますので見逃さないようにしてください。バス路線が充実しているのは、観光客の多いジェノヴァの海岸線(イタリアン・リヴィエラ)を走るバスです。本数も多く、休日も本数が多く充実しています。そのほかの地方は、休日だと極端に減りますので、バス旅行する時は、なるべく土曜日にしたほうが良いと思います。また、地方によっては、学校が休みになる期間、主に夏休み(6月中旬から8月末まで)には、本数がめっきり減ることがあります。時刻表には夏(E)と冬(I)と表示されていますので、夏休み期間に利用するときは見逃さないように注意をしてください。また、クリスマス(12月25日)、元旦(1月1日)、メイデイ(5月1日)と聖母被昇天(8月15日)は、運休するところが多いので気をつけてください。

停留所の注意
最後に、バスの停留所の位置についての注意です。先ほども書きましたが、チケットを購入する際に、必ず、停留所の位置を確認することをお勧めします。地方によっては、駅前にバス停がなく駅から離れている場合もあります。また、駅前にバス停の数が多くて、どの停留所から乗るのかわからない場合もあります。ここでバス停がわからないとバスに乗り遅れたりしますので注意してください。駅前にバス停があるところでも、そこは市内巡回バスで、郊外へ行くバスはちょっと離れたところにあるのが普通です。グーグル地図やグーグル・アースにバス停が出てきている場合は、事前にバス停の位置を確認しておくことをお勧めします。

イタリア国鉄(Trenitalia)のチケット購入

問題は国鉄です。日本でも国鉄時代は料金が高いのにサービスが悪かったのですが、イタリアでは料金は安いのですがサービスは最悪です。列車は非常に汚く、これでも動くのかと思うくらいです。それに、チケット購入がまず当面の問題です。ミラノ中央駅以外は、自動販売機(英語も可)は壊れている方が多いので期待しないほうが良いと思います。壊れても直さないので、どんどん壊れた機械が増えて、ほとんどの機械が壊れている状況になっています。それに、たとえ、動いていても、おつりが出なかったり、カードが使えなかったり、おつりが小さなコインばっかりで出たりとトラブルが絶えません。そこで、切符売り場で購入する事になりますが、大きな駅以外は、いつも1 ケ所しか開いていませんので、客が多いと長蛇の列です。それに加えて、長距離切符を買う人がいますので、時間のかかることが多々あります。5 ユーロのチケットを買うのに30 分かかることもありますので、時間の余裕を見ておいたほうが良いと思います。そんな状態ですから、チケットを買う時間がなくて、チケットなしで乗っちゃう人もいます。でも、だまっていて見つかると下記に書いてあるように罰金です。もし、どうしても心配なら、普通列車のチケットは打刻するまでは有効時間の時計の針は動きませんので数日前に買っておくのが良いでしょう。チケットは、私鉄と同様に打刻しなければ 2 ヶ月間有効です。普通列車は特急と違い予約購入は出来ません。また、駅の傍のキオスクで、10 キロ毎に金額の違う距離チケットを売っているところもあります。目的地までの距離がわかっているなら、このチケットでも列車に乗る事が出来ます。このチケットでも打刻は必要です。
おせっかい人に注意!
自動販売機を使っていると、親切な振りをして手伝ってくれる人(おせっかい)が出てきます。特に、ミラノ中央駅などの大きな駅に多く出てきます。彼らの目的は、おつりをくすねたり、チップをもらうことです。決して親切心でやっているわけではありません。こういう人には、英語でもかまいませんから、はっきりと、周りの人に聞こえるように、“No need”とか“Don’t touch”とか言って、遠ざけるようにしてください。

チケットに関する知識&トラブル対処

イタリア語を喋れない旅行者にとって交通機関のチケットを買うことはまず一つ目の難関と言えるでしょう。しかし、ツボさえ押さえ、トラブルに対処できるよう下準備をしておけば簡単です。ここではチケットを購入する際に頭に入れておきたいちょっとした知識を紹介します。
通しのチケットと往復チケット
イタリア国鉄に限りませんが、チケットの購入は、購入時にトラブルがあると考えて、乗り継ぎのある場合もできるだけ通しで購入するようにすべきです。乗換がある場合は乗換駅と最終目的地を言えばそこまでのチケットを購入できます。乗換の駅名はチケットにかかれますので、購入後に最終目的地の駅名とともに確認してください。また、同じ路線で帰るときは、出発駅で往復チケットを購入したほうが良いと思います。バスも、帰りに同じバスに乗るとき(有効時間内には戻らないとき)はチケットを2 枚買っておくようにした方が良いと思います。このようにして、チケットの購入機会をできるだけ減らしてトラブルに巻き込まれるリスクを減らすことが大事です。

無賃乗車にご注意
地下鉄と一部の私鉄の駅では、日本と同じようにチケットがなければプラットホームに入れないようになっていますがこれは例外ケースです。国鉄も私鉄も、原則として、チケットがなくても列車やバスに乗る事が出来ます。降りる時には改札はありませんから、だまっていて見つからなければ無賃乗車は可能です。短距離のバスやトラムはチケットの検査はほとんどありませんから無賃乗車している人はしょっちゅう見かけます。でも、たまに検札があります。そのときに見つかるとどんな理由があろうと厳しく罰金を取られます。罰金は料金の約30 倍です。料金が安いのですから無賃乗車はせずにちゃんと払うべきだと思います。国鉄でも私鉄でも長距離の列車の場合は原則として車掌が検札に回ってきますので、無賃乗車で見つからないケースはかなりラッキーだと言えます。

車内でのチケット購入
問題は、チケットが買いたくても買えなかったときです。特にイタリア国鉄は、チケット購入時のトラブルが頻繁で、時間がなくなりチケットなしで乗らざるを得ない場合が出てきます。そんなときは、発車してから、なるべく早く車内で車掌さんを見つけて、直ぐに自己申告してチケットを購入したい旨を伝えることです。その際、何故、チケットを買わなかったのかと聞かれますので、機械が壊れていて時間がなかったくらいのイタリア語を前もって考えておいて下さい。そうすれば、罰金は取られませんし、チケットも購入できます。但し、車掌の管轄区が出発駅ではない場合、出発駅から管轄区までと管轄区から目的地の料金が別々に取られますので、多少割高になりますので我慢してください。もし、最後まで車掌を見かけなかったら、今日はラッキーだと思ってだまって降りても良いと思います。降りるときには改札はありませんから問題ありません。イタリア人に聞くと、目的地までのチケットではなくても、とにかくなんらかのチケットを持っていたほうが、チケットなしで乗るよりは良いと言われました。少なくとも無賃乗車ではないので、罰金ではなく追加料金だけになります。もちろん、その時も、乗り越しになるのですから、車内で自己申告によって清算する必要があります。清算しないとキセルになって、見つかると罰金を取られます。

チケットの打刻を忘れずに
日本との大きな違いは、列車は乗車する前に、バスやトラムは乗車後直ぐに、チケットに打刻が必要なことです。これは、国鉄も私鉄も、列車でもバスでもすべて共通です(地方のバスは乗るときに運転手にチケットを出して半券をちぎられる場合もあります)。この打刻した時間からがチケットの有効時間開始となります。打刻していないチケットは、有効期間が2 ヶ月あり、その間は打刻するまで何度も使えることになります。従って、打刻していないで乗車していると、上記の罰金の対象になってしまいます。故意でなく打刻し忘れた場合も同じように罰金です。でも、ここにも問題があります。特にイタリア国鉄です。打刻機械はあっちこっちにあるのですが、壊れている機械も一杯あります。最悪の場合、機械を探しているうちに発車時間になり、打刻できないケースもあり得ます。また、田舎駅で1 つしかない機械が故障して使えないときもあります(これは体験しています)。この場合、一番確実なのは、出発駅で車掌を見つけて、打刻できなかったことを申告することです。きっと、他にも同じような人がいますので、ほとんど文句も言わずにチケットに日付けと時間を手書きしてくれます。でも、打刻する機械があったのに打刻を忘れて、列車が既に出発した場合でも、なるべく早く車掌を見つけて自己申告することです。その場合、罰金をとられることになると思いますが、その罰金は5 ユーロです。自己申告すれば、罰金もたいしたことはありません。とにかく、そんな事にならないように、打刻の機械を見つけたら直ぐに打刻するように心がけてください。発車直前まで打刻をしていないことがトラブルに繋がります。又、やむを得ず打刻していないチケットで乗車をして、車掌を見つけられないときは、自分で日付と時間を記入してください。検札に来たときに打刻機が壊れていたと説明すれば大丈夫です。また、運よく検札がなかったときでも、乗換があるときは乗換駅で手書きの上にもう一度打刻してください。そうすれば、乗換後に検札があっても大丈夫です。

その他、乗るときと降りるときの注意

自動ドアと手動ドア
列車のドアは、自動と手動があります。自動は問題ありませんが、手動は自分であけなくてはいけません。あける方法は、列車によって違います。ボタンを押す場合と取手を引いたり回したりして開けます。力が弱いと開きませんので思い切ってやってください。時々、イタリア人の女性でも力が弱くて開けられないときがありますので、本当に思い切ってやってください。乗るときも降りるときも同じです。但し、当然ながら列車が完全に停止しないと手動でもドアは開きませんので、完全に列車が止まってから取手を作動させてください。国鉄の場合、自動でも手動でも、時々、完全に列車が停止していても壊れていて開かないドアがあります。その場合は、走って他の車両に行くしかありません。出来るだけ乗ったドアから降りるようにする事です。

席の等級
列車には1 等席と2 等席がありますので注意が必要です。安いチケットは2 等席ですから必ず“2”と書いてある車両に乗ってください。人がいっぱい乗っているところが2 等席です。2 等席は自由席です。

車内アナウンス、表示などをアテにしないように
ほとんどの列車は車内放送がありませんし、あったとしてもイタリア語なのでわかりませんから、降りる駅は自分で把握しておく必要があります。電光掲示板で次の駅を教えてくれる列車もありますが、良く壊れているのであてにしないほうが良いと思います。通り過ぎる駅の名前をちゃんとチェックして、常に、今どこにいるのかを確認してください。イタリア国鉄は、本数が少ないうえ駅間の距離が長いですから、降り損ねると悲劇です。乗り過ごした場合は、あわてずに、出来るだけ大きな駅まで行くことです。小さな駅であわてて降りるとタクシーもバスもありません。駅員もいない駅もあります。

イタリアタイムで考えましょう
イタリア国鉄は、おおよそ時間通りですが、時々、20-30 分くらいの遅れは出ます。バスは遅れることがしょっちゅうです。バスは逆に、時々、5 分くらい早く来ることもありますので注意してください。従って、計画をたてる時には余裕を持っておくことが必要です。特に乗換の時は十分に余裕をみてください。


楽しい旅は、まず安全の確保から
イタリアの文化を理解し、注意のアンテナをはって素敵な旅行にしてください。


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